2015年5月2日土曜日

panpanya作品の足跡をたどる(1)


ふとした拍子に「蟹に誘われて」を読み、そこから一気に引き込まれてしまいAmazonで衝動買い。
panpanya氏の作品にはなんだかよくわからない魅力があります。寂れた商店街の薄暗い路地裏みたいな怪しさとワクワクがある不思議な世界が広がっててとってもよい。



さて、作品の中でも特にうれしいポイントが「いろんなロゴマークが出てくる」というところ。
しかもちょっと古めのロゴとか古い車とか古い家電とか時代に取り残されたものがぽろぽろ出てくるのでたまりません。今回はこの辺のちょっとしたネタについて考察してみます。
わけあって本文画像はなしです。



【足摺り水族館(単行本版)】
表紙:
女の子の右の雑草まみれになってるところにサンエブリー(現デイリーヤマザキ)とエネルゲン(大塚製薬)の看板が埋まっている。左真ん中には安田火災(現損保ジャパン)の看板が埋まっていて、帯で隠れている下にはマルフクのホーロー看板と営団地下鉄(現東京メトロ)のSマークが埋もれている。どれも昭和を感じるロゴたち。






ちょうど真ん中あたりに「万能ねりえ チヌまつり」なる看板がある。その下には「魚貝 ご相談下さい」。釣り関係の看板?
なんだかこの表紙のうねりながら奧へと上る階段は軍艦島の地獄段を連想させる。



「足摺り水族館」
P3,2コマ目:
JR西口駅?JRロゴのバックが緑色なのでJR東日本の駅をモチーフにしてるようだ。手前のタクシーはクラウンコンフォートみたい、フェンダーミラーもしっかり描かれてて完璧。

P4,5コマ目:
猫?のうしろの室外機に「SANYO」の文字。

P5,3コマ目:
ローソン。

5コマ目:
「7up」の空き缶。このロゴのセブンアップは日本では瓶でしか売られてなかったはず…。

P8,1コマ目:
「サンロード」なるアーケードの看板。全国にサンロードと名のつく商店街はいっぱいあるらしい。


「完全商店街」
扉絵:
古めかしい回路図とともに「MODULATED LIGHT TRANSMITTER」の文字、検索するとラジオの音声を光に変換して送る、といった内容の論文が出てきた。中央の「S」はソニーロゴのSだと思う。左下のラジオはナショナル・パナソニック(松下電器)の「World Boy GXO(RF-848)」。1972年発売のアンティークなBCLラジオだ。

P15,3コマ目:
デカデカとしたコカコーラの看板。田舎の酒屋での遭遇率が高い気がする。

P16,2コマ目:
ヤマハ教室。

3コマ目:
店の奥にキッコーマン。農協のミカン箱みたいなのを裏返して台にするのが地元の八百屋感が出ててよい。

P17,1コマ目:
左上に見切れたメナード化粧品の看板。

P18,1コマ目:
クロネコヤマトの宅急便、テレホンカード取扱店。たばこ屋自体が今は少なくなってしまった。

4コマ目:
証明写真機と宝くじ売り場。

P25,2コマ目:
左端に見切れたロシア・アヴァンギャルドのポスター。アレクサンドル・ロトチェンコの有名な作品。

P26,5コマ目:
UCCコーヒー、キーコーヒー。喫茶店といえばキーコーヒーの立て看板ははずせない。

P29,6コマ目:
同じくキーコーヒー。

P30,2コマ目:
左中央の軽自動車はおそらく初代ホンダZだ。こぢんまりしたスタイルが可愛らしい。

P31,2コマ目:
怒涛の看板ラッシュだ。「横風注意」の標識、雪印食品、サンエブリー、NTT、テクニクス(現パナソニック)、フコク生命、オービック、高崎ハム、右上に見切れたナショナルマーク(現パナソニック)。
旧松下グループのブランドはパナソニックに一本化されてしまったと思っていたが、最近テクニクスが復活したらしい。

P33,6コマ目:
おなじみマルフクとメガネの三和のホーロー看板。メガネの三和の看板はどこかで見たような気がするがGoogle画像検索ではなぜか出てこない。Googleもそんなものには興味がなさそうだ。

P34,1コマ目:
ヤマザキパンとコーセーのホーロー看板。左中央の「おもちゃの」が気になる。

5コマ目:
ナショナルショップ。左の車はC110型スカイライン、いわゆる「ケンメリ」のようだ。

P35,3コマ目:
またも怒涛のラッシュ。「ハイウェイラジオ ここから」(4代目)、JAマーク(農協)、東京靴流通センター、NECパーソナルコンピューター、森永アイスクリーム、コクヨ、ハトヤ、ビックカメラ。こんな路地にビックカメラがあったらびっくりする。手前右の車は三菱ミニカトッポ、左奥の車は2代目プリウス。

4コマ目:
オール讀物、カネボウ化粧品。

5コマ目:
東芝、シャープ、ヨークベニマル、CDロゴ、「CELL REGZA」。

6コマ目:
IBM、コクヨ。このページから数ページにわたって凄まじい量の看板やロゴが出現する。

P36,2コマ目:
エッソ、TBS(東京放送)の旧ロゴ。「修理のご相談 豊富な当店で TBS正規代理店」とあるが、いったい何を修理するんだろうか。TBSといえば「ミクロコスモス」というごちゃごちゃしたロゴも好き。

3コマ目:
ドクターグリップ、すかいらーく、日立のロゴ。ここに出てくるこの車だけ詳細がわからない。「完全すかいらーく」も気になるが、店頭で売られている「タバスキー」が気になり調べてみるとどうも山梨県丹波山村のマスコットキャラクターらしい。知らなかった。

6コマ目:
グラディウス。

P37,4コマ目:
INAX(現LIXIL)、マキロン、ミズノ、「世界の洗濯機 TOSHIBA」。

P39,2コマ目:
「1620kHz ここまで」(4代目?)、「押ボタン式信号」、「歩車分離式信号」。国道や高速道路の高架下に集められた信号機や青看を見てると楽しい。

3コマ目:
SANYO、かんぽ生命?、ニコン、NINTENDO64、フジパン、ダイドードリンコ、大日本除虫菊。「電光掲示板 ルミタイム」は実在するんだろうか。

P40,2コマ目:
エネルゲン。

3コマ目:
ゼネラル・エレクトリック、昭和シェル石油、アメリカ自動車協会(AAA)、黒ばら椿油、ヤマキ、「止まれ」。他にも描かれてるものの元ネタが追えない。

P41,1コマ目:
世界初のブラウン管式テレビに映された「イ」の文字。

2コマ目:
MONO消しゴム(トンボ鉛筆)。「スマートボール」とはまたマニアックな。

3コマ目:
水晶米、ロッテ、フコク生命、安田火災。「おっ 絶版車」の「絶版車」は愛知機械工業のコニー・グッピーだそうだ。

P42,1コマ目:
ファミリーマートの旧ロゴ、コーリン鉛筆。「HOUSE」と見切れているのはミキハウスだろうか。しかしコーリン鉛筆のロゴはどこか不気味。





4コマ目:
「扇風機専門店」の下にナショナル、SANYO、富士電機、HITACHI、東芝、MITSUBISHI。三菱の扇風機はこの前まで祖父宅で健在だったが最近火を噴いて故障してしまった。

P43,1コマ目:
エスキモー(森永乳業)。エスキモーロゴの入った使い捨てアイススプーンはもう消えてしまったんだろうか。

4コマ目:
キリンビール。「Nazostore」の字体がナショナルとかパナソニックとかの英字体とそっくり。

P44,4コマ目:
かわいいマッターホルンとは何者なのか。

P47,3コマ目:
「ムー大陸」の字体がムー(学研)。



「イノセントワールド」
P133,1コマ目:
ロッテアイスクリーム。こういう冷凍庫もアイスクリームの自販機が増えていくとともに淘汰されていっているように思える。



「マシン時代の動物たち」
P226,3コマ目:
ジョージア(コカコーラ社)。関係ないがグルジアの正式名称が先月下旬からジョージアに変更されたという。

P230,4コマ目:
自販機について観察点が書き連ねられているが、自販機の年式というのはいったいどこに記載されているのだろうか。

P247,2コマ目:
エネルゲン。

4コマ目:
ロッカーの上に小さくダンロップ。



「足摺り水族館」
P266
「ここまで」の文字はヒラギノ角ゴのようだ。



「君の魚」
P277,3コマ目:
三菱商船、ダイハツディーゼル。

P291,3コマ目:
KIRINのビールケース。



以上。昭和と平成がごっちゃになったような世界観には細かく見れば見るほど新しい発見があってとてもおもしろいです。読んだことのない人もぜひ一度。